妊娠中の貧血について知っておきたいこと
妊娠中の体調管理で多くの方が経験するのが貧血です。妊婦健診でヘモグロビン値をチェックする理由も、この貧血のリスクを把握するためです。妊娠中は体の中で様々な変化が起こりますが、その中でも貧血は特に注意が必要な状態の一つです。今回は、妊娠中の貧血について、原因から対策まで詳しくお伝えしていきます。
なぜ妊婦さんは貧血になりやすいの?
妊娠中は赤ちゃんの成長のために、お母さんの体内の血液量が1.5倍ほどに増加します。血液の量は増えるものの、血液の主成分である赤血球を作るのに必要な鉄分が追いつかず、血液が薄まった状態になりやすいのです。さらに、赤ちゃんの成長に必要な鉄分も母体から供給されるため、妊婦さんの体内の鉄分は通常以上に必要となります。これらの理由から、妊婦さんは貧血になるリスクが高くなります。また、つわりで食事が取りにくい時期と重なることも、貧血のリスクを高める要因となっています。
貧血予防のために取り入れたい栄養素と食材
貧血を予防するには、鉄分を十分に摂取することが大切です。鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄は動物性の食品に含まれ、体に吸収されやすい特徴があります。レバーや赤身肉、魚介類などに多く含まれています。一方、非ヘム鉄は植物性の食品に含まれ、ほうれん草や小松菜などの緑葉野菜、大豆製品に多く含まれています。非ヘム鉄は吸収率が低いものの、ビタミンCと一緒に摂取することで吸収率が上がります。例えば、ほうれん草のお浸しにレモン果汁をかけたり、納豆と一緒にキウイフルーツを食べたりするのがおすすめです。また、前回お伝えした葉酸も、貧血予防に重要な栄養素の一つです。
貧血対策で気をつけたいポイント
鉄分の摂取は大切ですが、サプリメントに頼りすぎるのは禁物です。鉄剤の過剰摂取は胃腸の調子を崩す原因となることがあります。特に妊娠初期はつわりで体調が不安定なため、無理のない範囲で食事からの摂取を心がけましょう。また、お茶やコーヒーに含まれるカフェインは鉄分の吸収を妨げることがあるので、食事の際は控えめにすることをおすすめします。貧血が心配な場合は、必ず担当医に相談しましょう。今後は、妊娠中の食事バランスや、つわり期の栄養管理についても詳しくご紹介していく予定です。お楽しみに。