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ナイアシンを巡る歴史と現代での再評価
ナイアシンは現代では健康補助食品や美容サプリとして知られていますが、その歴史は20世紀初頭までさかのぼります。ナイアシンの発見は、当時アメリカ南部を中心に猛威をふるっていた「ペラグラ」という原因不明の病気の研究から始まりました。ペラグラは皮膚炎、下痢、精神障害を三大症状とし、最終的には死に至ることもある重篤な病気でした。 1915年、アメリカの医師ジョセフ・ゴールドバーガーは、ペラグラが感染症ではなく栄養不足によるものだと突き止め、ナイアシンの欠乏が原因であることが判明します。その後、1937年に化学者コンラッド・エルヴェームらがトリプトファンからナイアシンが体内で合成されることを発見し、ナイアシンの栄養学的重要性が広く認識されるようになりました。 こうした歴史を踏まえると、ナイアシンは単なる「ビタミン」ではなく、数々の命を救った功績をもつ重要な医療発見でもあるのです。