知っておきたい貧血の種類とその違い

「貧血」という言葉は誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。実は貧血には、原因や症状の異なるいくつかの種類があります。今回は、特に代表的な「鉄欠乏性貧血」と「悪性貧血」について詳しくご紹介します。
健康診断で「貧血気味」と言われたことのある方や、妊娠を考えている方にとって、特に知っておきたい情報です。それぞれの貧血の特徴を理解することで、より適切な対策を取ることができるようになります。
最も多い貧血のタイプ「鉄欠乏性貧血」とは

貧血の中で最も多いのが「鉄欠乏性貧血」です。その名の通り、体内の鉄分が不足することで起こる貧血です。特に月経のある女性や、食事制限をしている方に多く見られます。
私たちの体内では、鉄分を使って赤血球の中のヘモグロビンが作られています。このヘモグロビンは、体中の細胞に酸素を運ぶ重要な役割を担っています。鉄分が不足すると、十分なヘモグロビンを作ることができず、結果として体の各部分に酸素が行き渡らなくなってしまいます。
鉄欠乏性貧血の主な症状には、疲れやすい、めまいがする、爪が割れやすくなる、髪が抜けやすくなるなどがあります。これらの症状は徐々に進行することが多く、気づかないうちに悪化していることもあります。
要注意!体の異変が教えてくれる「悪性貧血」

一方、「悪性貧血」は、ビタミンB12が関係する貧血です。ただし、単にビタミンB12が不足しているだけでなく、体内でビタミンB12を正しく吸収できない状態を指します。胃の粘膜に問題が生じることで、ビタミンB12の吸収に必要な「内因子」という物質が作られにくくなることが主な原因です。
悪性貧血の特徴的な症状として、舌の痛みや喋りにくさ、手足のしびれなどの神経症状が現れることがあります。これは、ビタミンB12が神経の働きにも重要な役割を果たしているためです。また、高齢者に多い傾向があり、自己免疫疾患の一つとされています。
この貧血は、単なるサプリメント摂取だけでは改善が難しく、医師による適切な治療が必要です。定期的な注射でビタミンB12を補給する治療が一般的です。
それぞれの貧血への適切な対応方法

鉄欠乏性貧血の場合、まずは食事での鉄分摂取を意識することが大切です。レバーや赤身肉などの動物性食品、ほうれん草やひじきなどの植物性食品から鉄分を摂取できます。ただし、植物性の鉄分は吸収率が低いため、ビタミンCと一緒に摂取するなどの工夫が効果的です。
一方、悪性貧血の場合は、医師の指導のもとで適切な治療を受けることが重要です。自己判断での対処は避け、症状が気になる場合は必ず医療機関を受診しましょう。特に、50歳以上の方で原因不明の貧血が続く場合は、悪性貧血の可能性も考えられるため、専門医への相談をおすすめします。
どちらの貧血も、早期発見・早期対応が大切です。定期的な健康診断を受けることで、貧血の進行を防ぎ、健康的な生活を送ることができます。気になる症状がある場合は、ためらわずに医療機関を受診することをお勧めします。