バミューダの魅力とデジタルノマドビザの概要
大西洋に浮かぶ楽園バミューダは、ピンクの砂浜と透明度の高い海が印象的な島国です。この美しい国は2020年、パンデミックによる観光業の打撃を受け、新たな経済戦略としてWork From Bermuda Certificate（バミューダデジタルノマドビザ）を導入しました。このビザは、世界中のリモートワーカーやデジタルノマドに、最長1年間バミューダに滞在しながら仕事を継続できる権利を与えるものです。
バミューダデジタルノマドビザは、英国の海外領土でありながら、アメリカ東海岸から飛行機でわずか2時間という地理的利便性を持つ場所で生活できる貴重な機会を提供しています。時差もアメリカ東部標準時と同じため、北米の企業と仕事をしている日本人にとって、時差管理が比較的容易になります。
このビザの最大の特徴は、バミューダの美しい環境で暮らしながら、国外の収入源から給与を得続けられる点です。バミューダには個人所得税がなく、給与やリモートワークによる収入に対する課税がないため、税制面でも魅力的です。ただし、バミューダ国内の企業から収入を得る場合には別の規制が適用されるため注意が必要です。
対象となるのは、自営業者、フリーランサー、外国企業の従業員など、オンラインで働く能力を持つ18歳以上の方です。申請者は十分な収入と健康保険を有していることを証明し、犯罪歴がないことが条件となります。また、ビザ保有者は現地企業からの雇用を得ることはできず、あくまで国外からの収入を得ながら滞在するという制限があります。
申請手続きの詳細とポイント
バミューダデジタルノマドビザの申請はオンラインで完結します。バミューダ政府の公式ウェブサイト（www.workfrombermuda.com）から申請フォームにアクセスできます。申請手順は比較的シンプルで、必要事項の入力と必要書類のアップロードを行えば完了します。
申請書には個人情報（氏名、生年月日、国籍、現住所など）、パスポート情報、職業情報、健康状態に関する情報を記入します。特に職業情報では、現在の雇用状況や職種、雇用主の詳細情報、年間所得などの詳細な情報が求められます。所得証明は審査において重要な要素となるため、正確な情報を提供することが重要です。
提出が必要な書類には、有効なパスポートのコピー（残存期間が申請時点で6カ月以上必要）、直近の銀行取引明細書または雇用証明書（十分な収入を証明するもの）、海外旅行保険を含む有効な健康保険の証明書、犯罪経歴証明書（過去6か月以内に発行されたもの）、COVID-19関連の健康宣誓書などがあります。日本から申請する場合、各種証明書の英訳と公証が必要になる場合があるため、余裕を持って準備しましょう。
申請料は263米ドル（約4万円）で、クレジットカードによるオンライン決済が可能です。この料金は返金不可であるため、申請前に資格要件を満たしているか慎重に確認することをお勧めします。申請から承認までの期間は通常2〜5営業日程度ですが、書類に不備がある場合や繁忙期には時間がかかることがあります。承認後は、バミューダ入国時に入国審査でビザの提示が必要となります。
デジタルノマドビザを最大限に活用するための準備
バミューダへの移住を成功させるには、事前の綿密な準備が欠かせません。まず、住居の確保が最優先事項です。バミューダの不動産市場は比較的高額であり、特に観光シーズン（5月から10月）は需要が高まります。長期滞在者向けの家具付きアパートメントやコンドミニアムが多く存在し、月額2,000〜5,000米ドル程度が相場です。費用を抑えたい場合は、現地のシェアハウスやルームシェアの選択肢も検討価値があります。
インターネット環境はデジタルノマドにとって生命線です。バミューダは島国ながら高速インターネットが整備されており、主要プロバイダーはOneComとDigicelです。モバイルデータプランも充実していますが、長期滞在の場合は固定回線の契約を検討すべきでしょう。契約には身分証明書と住所証明が必要となります。コワーキングスペースもハミルトンを中心に複数存在し、月額100〜300米ドル程度で利用できます。
銀行口座開設も重要な準備事項です。ビザ保持者は現地銀行口座を開設できますが、手続きには時間がかかるため、当面は国際的に利用可能なクレジットカードや、手数料の低い国際送金サービスを活用するのが賢明です。TransferWiseやRevolut等のオンラインバンキングサービスは、国際的な送金や支払いに便利でしょう。
健康面での準備も忘れてはなりません。バミューダ入国には健康保険の加入が義務付けられています。日本の国民健康保険は海外では適用されないため、海外旅行保険や国際医療保険への加入が必須となります。年間保険料は個人の年齢や保障内容によって異なりますが、1,000〜3,000米ドル程度を見込んでおくとよいでしょう。また、常備薬は十分に持参し、処方薬がある場合は英文の処方箋や医師の診断書を用意することをお勧めします。
実際の申請体験と成功のためのアドバイス
実際にバミューダデジタルノマドビザを取得した方々の体験によると、申請プロセス自体は比較的スムーズであるものの、いくつかの共通した課題があります。まず、必要書類の準備に時間がかかることが多いようです。特に犯罪経歴証明書の取得は国によってプロセスが異なり、日本の場合は警察署での手続きと英訳の準備が必要です。また、海外の健康保険が条件を満たしているかの確認も重要なポイントとなります。
申請書の記入では、特に職業や収入に関する情報を明確に示すことが承認率を高めるポイントです。フリーランスの場合は、過去の契約書や確定申告書のコピーなど、安定した収入を証明できる書類を添付すると良いでしょう。また、バミューダでのリモートワークの計画や、なぜバミューダを選んだのかという動機を簡潔に説明できるようにしておくことも役立ちます。
承認後の入国プロセスについても理解しておく必要があります。バミューダ到着時には、承認されたビザ書類、往復航空券、滞在先の情報が求められます。また、入国時に求められるCOVID-19関連の要件は変更される可能性があるため、渡航前に最新情報を確認することが重要です。さらに、バミューダでの滞在延長を希望する場合は、ビザの期限が切れる2か月前から更新申請が可能で、追加で263米ドルの手数料が必要となります。
最後に、バミューダでの生活を成功させるための心構えとして、現地コミュニティへの積極的な参加が挙げられます。バミューダは小さな島国であり、人間関係が重視される社会です。デジタルノマド向けのイベントやミートアップに参加したり、地元のボランティア活動に関わったりすることで、貴重な人脈を構築できます。また、英語はビジネスレベルで話せることが望ましく、特にリモートワークでのコミュニケーションや現地での生活において重要です。バミューダの文化や習慣を尊重し、地元の人々と良好な関係を築くことが、充実したデジタルノマド生活への鍵となるでしょう。
