IT専門家向け特化型ビザに注目:チェコのビザの概要と必要な要件 - HAPIVERI

IT専門家向け特化型ビザに注目:チェコのビザの概要と必要な要件

チェコのデジタルノマドビザとは

チェコのデジタルノマドビザとは

チェコのデジタルノマドビザは、2023年7月1日から正式に開始された外国人就労促進プログラムの一環です。このビザは、日本を含む特定の国・地域の国民でIT部門におけるデジタルノマドワーカーを対象としており、申請日から45日以内のビザ発給が保証されています。 最大1年間チェコに住んで働く権利を申請でき、有効期限は1年間となっています。

正式には「フリーランサー・自営業者向け滞在許可証」と呼ばれることもあり、既存のチェコのビジネスビザ制度を基盤としています。チェコの産業貿易省(MIT)から「デジタルノマド」に該当するという確認を得た上で、状況に応じたビザ申請を行う形式となっています。

チェコはEU圏でありながら物価も安く街並みが美しいことから、多くのデジタルノマドから人気を集めています。特にプラハは「百塔の街」と呼ばれるほど歴史的建造物が多く、魅力的な都市として知られています。 ヨーロッパの中心に位置するため、他のEU諸国への旅行や移動も便利であるという利点もあります。

対象者と申請資格

対象者と申請資格

チェコのデジタルノマドビザの対象者は次の2つのカテゴリーに分けられます:(1)外国企業の被雇用者で、チェコ国内から通信技術を使用してリモートで長期的に業務がこなせる者。この場合、対象者は当該外国企業の被雇用者のステータスのままで、チェコ国内で新たな雇用関係は発生しません。(2)フリーランス(自営業者):チェコの営業許可取得者、あるいはこれから取得する者です。

対象国として、日本、オーストラリア、カナダ、韓国、ニュージーランド、英国、米国、台湾に加え、イスラエル、シンガポール、ブラジル、メキシコ(2025年1月より)の12カ国・地域の国民が申請可能です。

申請者はIT分野の専門家であることが求められ、自然科学、技術、工学、数学の学位を取得しているか、IT業界で3年以上の実務経験があることが条件となっています。 このように、チェコのデジタルノマドビザは、他国のノマドビザと比較して職種を限定している点が大きな特徴です。

収入・財政要件と費用

収入・財政要件と費用

チェコのデジタルノマドビザを取得するためには、チェコ人の平均賃金の1.5倍以上、つまり月額約6万530チェココルナ(約39万5,800円)以上の収入があることを証明する必要があります。 これは現在の平均賃金を基準にすると、年間約72万6,354コルナ(約486万円)に相当します。

また、申請時には最低CZK124,500(約63万円)の貯金があることの証明も求められます。 ビザの申請料は比較的リーズナブルで、2,500チェココルナ(約1万6,300円)となっています。

税率については、チェコでの所得税の基本税率は15%ですが、所得額が年額平均賃金の4倍を超えると、差額分に対して23%の税率が適用されます。 日本との間には租税条約が締結されていますが、年間183日以上チェコに滞在する場合は、法律上、納税をする居住者と見なされるため、二重課税に注意が必要です。

他国のデジタルノマドビザとの違い

他国のデジタルノマドビザとの違い

チェコのデジタルノマドビザは、他国のデジタルノマドビザと比較していくつかの独自の特徴があります。最も顕著な違いは、IT分野の専門家に特化しているという点です。「スペインとポルトガルではノマドビザの発給に当たって業界が限定されていない」のに対し、チェコでは対象職種を絞り込んでいます。

また、チェコのデジタルノマドビザは完全に新しいビザカテゴリーというわけではなく、既存のビジネスビザ制度を基盤としている点も特徴的です。 このため、特にフリーランサーの場合はトレードライセンスの取得が必要となり、申請のハードルが比較的高くなっています。

さらに、長期滞在ビザの取得後にZivnoビザ(フリーランスビザ)を取得するという2段階のプロセスが必要な点や、ビザの可否が分かるまでに90〜120日ほどかかる場合があるなど、手続きの複雑さも他国と比べて特徴的です。一方で、45日以内のビザ発給保証プログラムもあり、条件を満たせば迅速に取得できる可能性もあります。

収入要件については、多くのノマドビザが「安定した収入」を求める傾向にある中、チェコも例外ではなく、現地平均賃金の1.5倍という比較的高い基準を設けています。しかし、物価の安さを考慮すると、実質的な生活コストは他の欧州諸国よりも低く抑えられる可能性があります。

最後に、少なくとも1年間の宿泊施設を手配したことを示す書類が必要という点も、短期から中期の滞在を想定する多くのデジタルノマドにとっては他国と比べて厳しい条件となっています。

総じて、チェコのデジタルノマドビザは、IT分野の専門家で長期的な滞在を計画している人に適しており、欧州の中心という地理的優位性と相対的な物価の安さというメリットがある一方で、申請要件の厳格さと手続きの複雑さがあるという特徴を持っています。

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