ドイツのビザは手続きが複雑?【ビザの概要と必要な要件】 - HAPIVERI

ドイツのビザは手続きが複雑?【ビザの概要と必要な要件】

ドイツ独自のアプローチ:デジタルノマドのための特別なビザオプション

ドイツ独自のアプローチ:デジタルノマドのための特別なビザオプション

ドイツには、正式な「デジタルノマドビザ」という名称のビザは存在しません。しかし、デジタルノマドにとって非常に魅力的な2つの選択肢があります。それは、フリーランサービザ(Freiberufler)と自営業ビザ(Selbständiger)です。これらのビザは、EU加盟国以外からの外国人が、ドイツで合法的に居住し、リモートワークを行うことを可能にします。

ドイツのアプローチは、他の国のデジタルノマドビザと比較して、より複雑な手続きと高い基準が特徴的です。例えば、ポルトガルのD8ビザは1年間の有効期限で比較的シンプルな申請プロセスを持つのに対し、ドイツのフリーランサービザは当初3か月の有効期限から始まり、その後、居住許可証への転換が必要となります。この複雑さは、ドイツが自国経済へのポジティブな影響を重視しているためです。

2024年6月1日には、新たな選択肢として「求職機会カード」(Job Search Opportunity Card)が導入されました。これは、EU域外の熟練労働者がドイツでの職探しを行うための画期的な制度です。この新制度は、年間40万人の新規労働者を必要とするドイツの労働市場の需要に応えるものですが、デジタルノマドの多くにとっては依然としてフリーランサービザが最適な選択肢となっています。

フリーランサービザ(Freiberufler):自由業者のための道

フリーランサービザ(Freiberufler):自由業者のための道

フリーランサービザは、デジタルノマドにとって最も一般的な選択肢で、「自由職業」と呼ばれる特定の分野で活動する人々を対象としています。対象となる職業は、教師、ジャーナリスト、翻訳者、セラピスト、エンジニア、ITスペシャリスト、建築家、弁護士、医師など、幅広い分野をカバーしています。これらは総称して「リベラルな職業」と呼ばれ、ドイツの文化や経済にポジティブな影響を与えると考えられる業種です。

このビザの特徴は、収入要件が比較的柔軟であることです。具体的な最低収入額は設定されていませんが、年間9,000ユーロ以上の収入を証明する必要があります。これは月額約750ユーロと、他の多くの国のデジタルノマドビザと比較して控えめな金額設定となっています。例えば、ポルトガルのD8ビザが月額3,480ユーロ、マルタが3,500ユーロ、エストニアが3,504ユーロを要求するのと比べると、ドイツの要件は比較的達成しやすいと言えます。

ただし、45歳以上の申請者には追加の条件があります。退職時(ドイツでは67歳)に最低でも月額1,332ユーロの年金を受給できることを証明する必要があり、これが難しい場合は、195,000ユーロ相当の資産(銀行預金、証券、不動産など)を示す必要があります。

自営業ビザ(Selbständiger):起業家のためのオプション

自営業ビザ(Selbständiger):起業家のためのオプション

一方、自営業ビザは、独自のビジネスを経営する起業家や、会社の創設者向けのビザです。このビザは、フリーランサービザよりも要件が厳しく、申請者のビジネスがドイツ経済に大きな利益をもたらすことを証明する必要があります。具体的には、詳細なビジネスプラン、資本金の証明、そしてビジネスがドイツ経済に与えるポジティブな影響を示す必要があります。

自営業ビザの申請には、フリーランサービザよりも多くの書類が必要となります。資本金の証明として、自己資本または融資の確約書を提出し、ビジネスの財務計画や市場分析を含む包括的なビジネスプランを用意する必要があります。また、申請者の事業がドイツの地域経済にどのような利益をもたらすかを具体的に示す必要があります。

このビザは、単にドイツで生活したいというだけでなく、ドイツ経済に積極的に貢献したいという熱意のある起業家向けの選択肢です。そのため、審査も厳格で、申請から承認までの期間もフリーランサービザより長くなる傾向があります。

他国との比較:ドイツが提供する独自の価値

他国との比較:ドイツが提供する独自の価値

ドイツのビザ制度は、他国のデジタルノマドビザと比較すると、いくつかの特徴的な違いがあります。まず、ドイツは専用の「デジタルノマドビザ」を設けていない数少ない国の一つです。また、申請プロセスも他国より複雑で、多くの書類や証明が必要となります。例えば、エストニアのデジタルノマドビザは申請から12か月まで滞在可能ですが、ドイツでは最初の3か月後に居住許可証への転換手続きが必要です。

しかし、ドイツのビザには他国にはない利点もあります。一度居住許可を取得すれば、最長3年間の滞在が可能で、さらに延長することも可能です。5年間の合法的な滞在後には、永住権の申請資格が得られます。これは、ポルトガルやスペインなど他のEU諸国と同様のメリットです。

また、ドイツのGDPがヨーロッパ最大の4.305兆ユーロ(2024年時点)であることから、ビジネスチャンスが豊富にあります。特にベルリン、ミュンヘン、ハンブルク、フランクフルトなどの主要都市では、活発なスタートアップ・エコシステムと充実したコワーキングスペースがデジタルノマドを支援しています。税制面では、累進課税方式が採用されており、年収9,700ユーロ以下は非課税、それ以上は14%から最大45%の税率が適用されます。このように、ドイツは手続きの複雑さを上回る魅力を持つ国として、多くのデジタルノマドから注目を集めています。

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