イギリスへの移住に際して、多くの保護者が子供の英語教育について不安を抱えています。しかし、イギリスには英語を母国語としない子供たちのための充実したサポート体制が整っています。特に公立学校では、EAL（English as an Additional Language）という専門的なプログラムを通じて、きめ細かな言語支援が提供されています。今回は、イギリスで子供の英語力を効果的に伸ばすための方法と、活用できる支援制度についてご紹介します。
充実した学校での言語サポート体制
イギリスの公立学校における最大の特徴は、EALサポートの存在です。これは英語を第一言語としない児童・生徒のために特別に設計された支援システムです。専門の教員（EALコーディネーター）が配置され、通常の授業に並行して個別指導を行います。入学直後は「インダクションプログラム」と呼ばれる集中的な英語学習期間が設けられ、基本的なコミュニケーション能力の習得に重点が置かれます。また、教科学習においても、視覚教材や母語での補助教材を活用した「シェルタード・インストラクション」という特別な指導方法が採用されており、英語力に関係なく学習内容を理解できるよう工夫されています。
放課後の学習支援プログラム
多くの学校では放課後に「Homework Club」や「Study Support」と呼ばれる支援教室を開設しています。ここでは教科の補習だけでなく、英語の追加指導も行われます。特筆すべきは「バディシステム」の存在です。これは現地の生徒と新来の生徒をペアにして学習とコミュニケーションを促進する制度で、自然な形で英語力を向上させることができます。また、地域の図書館では「Reading Buddies」というプログラムを実施しており、ボランティアの大学生が子供たちの読書をサポートしています。これらのプログラムは無料で利用できることが多く、経済的な負担なく学習支援を受けることができます。
地域コミュニティとの連携による言語習得
イギリスの特徴的な取り組みとして、「サタデースクール」があります。これは地域のコミュニティセンターや教会で週末に開催される補習教室で、学校の学習内容の復習や英語の追加指導が行われます。また、「Youth Club」では、スポーツや芸術活動を通じて自然に英語を学ぶ機会が提供されています。さらに、BBC Educationが提供する「Bitesize」という無料のオンライン学習プラットフォームでは、年齢やレベルに応じた教材が豊富に用意されており、家庭でも効果的な学習を進めることができます。
長期的な成長を支える継続的支援
イギリスの教育システムでは、定期的な評価を通じて子供の言語発達を丁寧に追跡します。EALコーディネーターは保護者と定期的に面談を行い、進捗状況の共有や家庭での支援方法についてアドバイスを提供します。また、多くの学校では「Parent and Child English Classes」を開催しており、保護者と子供が一緒に英語を学ぶ機会も設けられています。さらに、GCSE（中等教育修了試験）に向けては、必要に応じて追加の言語支援や試験での特別配慮（追加時間の付与など）も提供されます。こうした包括的なサポート体制により、子供たちは段階的に英語力を向上させ、学業面でも着実な成長を遂げることができます。
※本記事の情報は2024年時点のものです。各学校や地域によってサポート内容は異なる場合がありますので、実際の利用にあたっては各機関に直接ご確認ください。
