スペインは温暖な気候と豊かな文化を持つ国として、多くの日本人が移住を検討する人気の国の一つです。本記事では、スペインでの長期滞在に必要なビザから永住権取得までのプロセスを、日本人の視点で詳しく解説していきます。
長期滞在ビザの種類と申請手続き
スペインでの長期滞在を希望する場合、まずは目的に応じた長期ビザの取得が必要となります。最も一般的なのは就労ビザで、スペインの企業からの正式な雇用契約が必要となります。申請には在日スペイン大使館で手続きを行い、雇用契約書、犯罪経歴証明書、健康診断書などの提出が求められます。また、近年人気が高まっているのがノンルクラティブビザ(非就労ビザ)です。このビザは年間約25,000ユーロ以上の安定した収入証明があれば、就労せずにスペインでの長期滞在が可能となります。さらに、スタートアップビザやデジタルノマドビザなど、新しい在留資格も整備されています。
一時滞在許可証(TIE)の取得と更新
スペインに到着後、40日以内に外国人身分証明書(TIE: Tarjeta de Identidad de Extranjero)の取得が必要です。TIEは滞在許可証であると同時に身分証明書としても機能する重要な書類です。申請には、現地の外国人事務所での手続きが必要で、有効なビザ、パスポート、居住証明書(パドロン)、申請書類一式の提出が求められます。初回の滞在許可は通常1年間有効で、条件を満たせば2年ごとの更新が可能です。更新時には、滞在期間中の収入証明や社会保険料の支払い証明などが必要となります。
長期滞在から永住権取得への道のり
スペインでの永住権(Residencia de larga duración)取得には、原則として5年間の合法的な連続滞在が必要です。この期間中、年間で最大10ヶ月までの国外滞在が認められています。永住権申請時には、これまでの滞在期間中の就労実績や収入証明、社会保険料の納付実績、さらにスペイン語能力(DELE A2以上)の証明が求められます。また、スペインの社会統合テスト(CCSE)にも合格する必要があります。永住権を取得すると、5年ごとの更新で無期限の滞在が可能となり、就労制限もなくなります。
国籍取得までの要件と手続き
さらなるステップとして、スペイン国籍の取得も選択肢の一つです。日本人の場合、原則として10年間の合法的な滞在後に申請が可能となります。国籍取得には、永住権取得時よりもさらに高度なスペイン語能力(DELE B1以上)が求められ、スペインの文化や歴史に関する知識も試されます。また、スペインへの帰化に際しては、原則として日本国籍を放棄する必要があることにも注意が必要です。国籍取得の審査には通常2年程度かかり、承認後はスペイン市民として完全な権利を得ることができます。手続きの際には、これまでの滞在履歴、無犯罪証明、経済的自立の証明などが必要となります。