バハマのデジタルノマドビザ入門:制度の概要と申請方法 - HAPIVERI

バハマのデジタルノマドビザ入門:制度の概要と申請方法

バハマ・デジタルノマドビザの概要と特徴

バハマ・デジタルノマドビザの概要と特徴

バハマ政府は2020年、新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受けて観光業の落ち込みを補うため「バハマス・エクステンデッド・アクセス・トラベル・ステイ(BEATS)プログラム」を導入した。これはいわゆるデジタルノマドビザと呼ばれる制度の一つで、リモートワークが可能な外国人に最長12か月の滞在許可を与えるものだ。バハマは700以上の島と2,400の小島からなる島国で、透明度の高い海と白浜のビーチが魅力の国として知られている。首都ナッソーがあるニュープロビデンス島を中心に、グランドバハマ島やアバコ諸島など、各島がそれぞれ独自の魅力を持つ。

BEATSプログラムの最大の特徴は、バハマ国内での収入を得ることなく、海外の雇用主や自身のビジネスから収入を得ながら、最長1年間バハマに滞在できることだ。さらに、配偶者や子どもなど家族も同時に申請することが可能で、家族全員で移住できる点も大きな魅力となっている。また、このビザは1回のみ更新が可能で、条件を満たせば最長で2年間のバハマ滞在が認められる。バハマは英語が公用語であり、通信インフラも整っているため、英語圏からの移住者にとって言語の壁が低い点も利点だ。

申請条件として、申請者は海外の雇用主から給与を得ているか、自身のビジネスを持っていることが必要だ。また、年間収入が50,000米ドル以上あることを証明する必要がある。バハマ国内で現地の人を雇用したり、現地企業と競合するビジネスを行ったりすることは認められていない。ビザの申請料は1,025米ドル(約15万円)で、家族を含める場合は追加料金が発生する。これらの費用は返金不可であるため、申請前に条件を満たしているか確認することが重要だ。

バハマでのデジタルノマド生活の魅力は、カリブ海の美しい自然環境の中で仕事ができることだけではない。バハマは法人税や所得税がゼロの国として知られており、滞在中に海外から得る所得に対しての課税がないため、税制面でのメリットも大きい。ただし、税金の扱いは複雑であり、母国との二重課税防止条約などの関係もあるため、移住前に税理士などの専門家に相談することをおすすめする。

申請手続きのステップバイステップガイド

申請手続きのステップバイステップガイド

バハマのデジタルノマドビザ(BEATS)の申請は、オンラインで完結する。まず、バハマ政府の公式ウェブサイト(www.bahamasbeats.com)にアクセスし、アカウントを作成する。メールアドレスと基本情報を入力後、確認メールが送られてくるので、記載されたリンクをクリックしてアカウントを有効化する。ログイン後、申請フォームに必要事項を記入していく。申請者の個人情報、パスポート情報、滞在予定期間、職業情報などを入力する。家族を同伴する場合は、家族全員の情報も入力が必要だ。

申請に必要な書類は複数ある。まず、パスポートのスキャンコピーが必要で、パスポートは申請時点で6か月以上の有効期限が残っていることが条件となる。次に、雇用証明書または事業証明書が必要だ。雇用されている場合は、雇用主からのレターで、職種、勤務年数、年収などが記載されているものを用意する。自営業やフリーランスの場合は、事業登録証や直近の納税証明書などが必要となる。また、銀行の残高証明書や収入証明書も必要で、年間50,000米ドル以上の収入があることを証明しなければならない。

健康保険の証明も重要な提出書類だ。バハマ滞在中をカバーする海外旅行保険や国際健康保険への加入証明が必要となる。保険は緊急医療搬送や本国への帰国費用をカバーするものが望ましい。犯罪経歴証明書(無犯罪証明書)も提出が求められる。これは自国の警察機関から取得できるもので、日本の場合は各都道府県警察本部で「犯罪経歴証明書」として申請できる。すべての書類は英語で提出する必要があり、英語以外の書類は公的な英訳を添付しなければならない。

必要書類をアップロードし、申請フォームを完成させたら、申請料の支払いに進む。申請料は主申請者1人につき1,025米ドルで、16歳以上の同伴者は525米ドル、15歳以下の子どもは325米ドルの追加料金がかかる。クレジットカードまたはデビットカードでのオンライン決済が可能だ。申請書の提出後、バハマ政府による審査が行われる。通常、審査期間は5営業日から2週間程度だが、繁忙期や追加書類の要請があった場合はさらに時間がかかることもある。申請が承認されると、メールで通知が届き、デジタルビザが発行される。このビザを印刷して、バハマ入国時に移民局の係官に提示する必要がある。

バハマでの住居探しと初期セットアップ

バハマでの住居探しと初期セットアップ

バハマでの住居探しは、滞在する島や予算によって選択肢が異なる。最も一般的なのは、ニュープロビデンス島(首都ナッソーがある)、グランドバハマ島、アバコ諸島、エレウテラ島などだ。住居タイプは大きく分けて、長期滞在向けのアパートメント、コンドミニアム、一軒家、そして短中期向けのホテルやリゾート内の滞在施設がある。住居費用は地域や物件によって大きく異なるが、ナッソーの中心部では1ベッドルームのアパートメントで月1,000〜2,000米ドル、郊外や他の島ではもう少し安価な物件も見つかる可能性がある。

住居探しの方法としては、現地の不動産エージェントを利用するのが一般的だ。バハマ不動産協会(BREA)に登録されているエージェントを選ぶことをおすすめする。また、Airbnbやその他の短期賃貸サイト、バハマの不動産ポータルサイト(Bahamas Real Estate、Property Bahamas、Engel & Volkers Bahamasなど)も活用できる。最初の1〜3か月は短期賃貸で様子を見て、その後長期契約に移行するという方法も賢明だ。契約時には、デポジット(通常1〜2か月分の家賃)、最初の月の家賃、場合によっては最後の月の家賃も前払いが求められることが多い。

バハマでの銀行口座開設は、現地での生活を円滑にするために検討すべき事項だ。主要銀行としては、Royal Bank of Canada(RBC)、Scotiabank、FirstCaribbean International Bank、Bank of The Bahamasなどがある。口座開設には通常、パスポート、ビザ証明書、現地の住所証明(賃貸契約書など)、銀行への紹介状(自国の銀行からのもの)が必要となる。ただし、デジタルノマドの場合、滞在期間が限られているため、必ずしも現地銀行口座が必要ない場合もある。国際的に使えるクレジットカードと、海外ATM手数料が低い銀行のデビットカードを持っていれば十分な場合も多い。

通信環境の確保も重要だ。バハマの主要な通信会社はBahamas Telecommunications Company(BTC)とAliv(Cable Bahamas Ltd.の子会社)で、両社ともプリペイドSIMカードを提供している。ビザ保持者はこれらの会社と契約を結ぶことができる。インターネット接続に関しては、都市部では比較的高速な光ファイバー接続が利用可能だが、離島では接続の質が低下することがある。住居を選ぶ際には、安定したインターネット接続があるかどうかを確認することが重要だ。また、多くのカフェやレストラン、コワーキングスペースでも無料Wi-Fiが提供されているので、バックアップとして利用できる。

デジタルノマドビザの更新と長期滞在計画

デジタルノマドビザの更新と長期滞在計画

バハマのデジタルノマドビザ(BEATS)は、初回の申請で最長12か月の滞在が許可されるが、条件を満たせば1回のみ更新が可能で、最大で2年間バハマに滞在できる。ビザの更新は、現行のビザの有効期限が切れる少なくとも30日前に申請することが推奨される。更新申請は初回申請と同様に、バハマ政府の公式ウェブサイトから行う。更新時には、初回申請時と同様の書類(パスポートコピー、収入証明、健康保険証明など)の提出が必要になる。また、更新申請料金も初回と同額(主申請者1,025米ドル、同伴者はそれぞれの料金)が必要だ。

更新審査では、過去のビザ期間中のコンプライアンス状況も確認される。バハマ国内で違法に就労していないか、現地の法律や規則を守っていたかなどが審査ポイントとなる。また、引き続き年間収入50,000米ドル以上を維持していることも証明しなければならない。更新が承認されると、追加で最長12か月のビザが発行される。なお、BEATSプログラムでの最長滞在期間は合計で24か月(2年間)までと定められているため、それ以上の滞在を希望する場合は、別の在留資格への切り替えを検討する必要がある。

2年間のBEATSビザ期間を終えた後、さらにバハマでの滞在を継続したい場合は、いくつかの選択肢がある。一つは永住権の取得だ。バハマでは、一定額以上の不動産投資(通常は75万米ドル以上)を行うことで、永住権申請の資格が得られる「経済的永住権」制度がある。また、バハマ国籍者との結婚や、特定の専門職として現地企業に雇用されることでも、永住権申請の道が開かれる。投資家ビザも選択肢の一つで、バハマで事業を始める場合や、政府指定の投資プロジェクトに参加する場合に申請できる。

バハマへの長期移住を検討する上で、税金の問題は重要な検討事項だ。バハマ自体には所得税、法人税、キャピタルゲイン税がないため、税制上は魅力的だ。しかし、母国の税法によっては、海外居住者であっても一定の条件下で課税される場合がある。例えば、日本の場合、海外に居住していても日本国籍を持つ人は、一定の条件を満たさない限り、全世界所得に対して日本での納税義務が発生する可能性がある。また、バハマと日本の間には二重課税防止条約が締結されていないため、税制面での取り扱いが複雑になることもある。長期のバハマ滞在を計画している場合は、税理士や国際税務の専門家に相談し、適切な税務計画を立てることが重要だ。

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