モーリシャスの気候と地理的特徴
モーリシャスはアフリカ大陸の東、マダガスカル島から東に約900kmに位置するインド洋の島国です。総面積は約2,040平方キロメートルで、日本の淡路島とほぼ同じ大きさです。火山島を起源とし、島の周囲には美しいサンゴ礁が広がっています。主島のほかに、ロドリゲス島やアガレガ諸島などの小島も領土に含まれています。島の中央部には山岳地帯があり、最高峰はピトン山の828メートルです。海岸線は約330キロメートルに及び、白砂のビーチと透明度の高い海が特徴的です。
気候は熱帯海洋性気候に分類され、一年を通じて温暖な気候が続きます。年間の平均気温は北部で25℃、中央高地で19℃程度です。季節は大きく夏季（11月〜4月）と冬季（5月〜10月）に分かれています。夏季は高温多湿で、最高気温は33℃前後まで上昇することがあります。この時期はサイクロン（熱帯低気圧）のシーズンでもあり、特に1月から3月にかけては警戒が必要です。冬季は比較的涼しく乾燥しており、最低気温は16℃程度まで下がることがあります。年間降水量は中央高地で約4,000mm、沿岸部で約1,000mmと地域差があります。
モーリシャスの自然環境は非常に豊かで、多様な生態系が存在します。固有種も多く、絶滅したドードー鳥の故郷としても知られています。島の約25%が森林に覆われており、ブラックリバー渓谷国立公園などの自然保護区が設けられています。海洋環境も豊かで、400種以上の海洋生物が生息するサンゴ礁は、ダイビングやシュノーケリングのスポットとして人気です。環境保全への取り組みも積極的で、再生可能エネルギーの導入や持続可能な観光の推進など、環境と経済のバランスを取る政策が進められています。
主要都市と住居事情
モーリシャスの首都はポートルイスで、人口は約15万人、島の北西部に位置しています。政治・経済の中心地であり、国際的な金融センターとしての側面も持っています。コロニアル様式の歴史的建造物と近代的なビジネス街が共存し、中心部にはカトリーヌ・セリエ庭園やブルーペニー郵便博物館などの観光スポットがあります。商業地区のル・コーダン通りやセントラルマーケットは活気に満ちており、多様な文化が混ざり合う様子を体験できます。次に人口が多いのはキュレパイプで、中央高地に位置し、涼しい気候が特徴です。コロニアル時代の雰囲気が残る街並みと美しい植物園があります。
グランベイは北部に位置する有名なリゾート地で、美しいビーチと多くのレストラン、ショップ、ナイトライフで知られています。デジタルノマドにも人気のエリアで、観光インフラが整っています。フリックアンフラックは西部の高級リゾートエリアで、ル・モーンの世界遺産を望む絶景が魅力です。マーブルグは東部のビーチリゾートで、静かな環境を好む人に適しています。住居の選択肢は多様で、短期滞在ならホテルやゲストハウス、アパートホテルがあります。月額500〜1,500米ドルで、Wi-Fiや基本的な設備が整った物件が見つかります。
長期滞在の場合は、アパートや一軒家の賃貸が一般的です。エリアによって家賃は大きく異なり、ポートルイスやグランベイなどの人気エリアでは、2ベッドルームのアパートで月額800〜2,000米ドル程度です。内陸部や地方都市ではより安価な物件が見つかります。賃貸契約は通常6か月または1年単位で、敷金として1〜2か月分の家賃が必要です。家具付き物件が多いですが、高級物件ほど設備が充実しています。不動産エージェントを通じての契約が一般的で、契約時には身分証明書、ビザ証明書、収入証明などが必要です。公共料金（電気・水道・ガス）は通常賃料に含まれていないため、別途支払いが必要です。
インターネット環境と交通インフラ
モーリシャスのインターネットインフラは、アフリカ諸国の中でも比較的発達しています。光ファイバー網が島の多くの地域をカバーしており、主要プロバイダーはMauritius Telecom、Emtel、CANALPLUSなどです。平均的なインターネット速度は固定回線で30〜100Mbps程度で、都市部では高速接続が可能です。モバイルインターネットも発達しており、4G LTEが島の約90%をカバーしています。5Gサービスも一部地域で開始されており、今後拡大される予定です。インターネット料金は、家庭用の光ファイバー接続で月額30〜100米ドル程度、データ容量に応じて価格が変動します。
公共Wi-Fiスポットは主要観光地、ショッピングモール、カフェなどで利用可能ですが、セキュリティ面を考慮してVPNの使用が推奨されています。リモートワーカー向けのコワーキングスペースも増加傾向にあり、ポートルイス、グランベイ、キュレパイプなどの都市に集中しています。代表的な施設はThe Hub、The Address、Regus Mauritiusなどで、月額100〜300米ドル程度で利用できます。これらの施設では高速インターネット、会議室、プリンター、ロッカーなどの基本設備が提供されています。電力供給は比較的安定していますが、夏季のサイクロンシーズンには停電が発生することもあるため、バックアップ電源の確保が推奨されています。
モーリシャスの交通インフラは発展途上ですが、島内移動に十分なネットワークが整備されています。公共交通機関としてバスが主要な移動手段で、島全体をカバーする路線網があります。料金は距離に応じて0.5〜2米ドル程度と安価です。メトロエクスプレスという軽量鉄道システムが2019年に一部開通し、ポートルイスとキュレパイプを結んでいます。タクシーは主要都市やホテル周辺で容易に利用でき、事前予約も可能です。料金はメーター制または距離に応じた固定料金で、観光地では値段交渉が必要な場合もあります。レンタカーは国際免許証があれば利用可能で、日額30〜60米ドル程度です。左側通行で、一部山間部の道路状況は良くない場合があります。また、アプリベースの配車サービスとしてUberは利用できませんが、Teleporter Mauritiusなどの現地サービスが代替として機能しています。
日常生活の費用と現地サービス
モーリシャスの生活費は東京やニューヨークなどの大都市と比較すると全体的に安価ですが、観光地であるため他のアフリカ諸国よりは高めです。1人暮らしの場合、月額1,000〜2,000米ドル程度で快適な生活が可能です。食費は地元の市場やスーパーを利用すれば比較的安く抑えられます。地元の市場では新鮮な果物や野菜、海産物が手に入り、輸入食品はスーパーマーケットで購入できますが割高です。外食費は店舗によって差がありますが、ローカルレストランで一食5〜10米ドル、西洋料理やアジア料理のレストランでは15〜30米ドル程度です。
医療面では、公立病院と私立病院が併存しています。公立病院は国民と永住者向けに無料または低コストで基本的な医療サービスを提供していますが、設備や対応に限界があります。外国人は主に私立病院を利用することが一般的で、主要都市には国際基準の私立病院があります。Apollo Bramwell Hospital、Clinique Darneなどの施設では英語対応可能な医師が在籍しています。モーリシャス滞在中は包括的な海外旅行保険への加入が強く推奨されています。一般的な診察料は50〜100米ドル程度で、専門医の診察はさらに高額になることがあります。薬局は主要都市に多く存在し、処方箋なしで購入できる薬も多いですが、特定の薬は医師の処方箋が必要です。
銀行サービスはよく整備されており、主要銀行にはMCB（Mauritius Commercial Bank）、SBM（State Bank of Mauritius）、HSBC、Barclaysなどがあります。外国人は観光ビザでも銀行口座を開設できる場合がありますが、プレミアムビザ保持者はより容易に口座開設が可能です。必要書類はパスポート、ビザ証明書、住所証明書（賃貸契約書など）、収入証明などです。クレジットカードはホテル、レストラン、ショッピングモールなどの都市部では広く使用できますが、地方や小規模店舗では現金が必要な場合があります。ATMは主要都市に多く設置されており、国際キャッシュカードで現地通貨（モーリシャスルピー）を引き出せます。モバイル決済サービスも普及しつつあり、my.t moneyやJuiceなどのアプリが利用可能です。為替レートは変動しますが、1米ドルは約40〜45モーリシャスルピー程度です。送金サービスとしてはWestern Union、MoneyGram、TransferWiseなどが利用可能です。
