モーリシャスのデジタルノマドビザ「プレミアムビザ」とは
モーリシャスは2020年、リモートワーカーや長期滞在者向けに「プレミアムビザ」と呼ばれるデジタルノマドビザを導入しました。このビザは新型コロナウイルスの世界的流行を受け、観光業の打撃を軽減するための施策として始まりました。当初は1年間の滞在許可でしたが、現在は最長で10年間の滞在が可能となっています。インド洋に浮かぶ島国モーリシャスは、美しいビーチや豊かな自然環境、多文化社会、そして安定した政治体制と通信インフラを持つことから、デジタルノマドにとって魅力的な目的地として注目を集めています。
プレミアムビザの最大の特徴は、外国からの収入を得ながらモーリシャスに長期滞在できる点です。通常の観光ビザでは最長60日間しか滞在できませんが、プレミアムビザでは最初に1年間の滞在許可が与えられ、条件を満たせば延長も可能です。対象となるのは外国からの収入がある個人で、モーリシャス国内で現地の仕事に就くことは基本的に認められていません。申請者は年間50,000米ドル以上の収入証明が必要です。申請は無料で、オンラインで完結するシンプルなプロセスになっています。
モーリシャス政府はデジタルノマドを積極的に受け入れるため、他国に比べて柔軟な条件を設定しています。税制面では、183日以上滞在した場合に税務上の居住者となりますが、外国からの収入に対しては最初の年は課税されないケースが多いです。また、二重課税防止条約を多くの国と結んでいるため、税負担を軽減できる可能性があります。モーリシャスは物価が比較的安く、光ファイバーインターネットも普及しており、デジタルノマドの生活環境として優れています。
プレミアムビザの申請条件と必要書類
モーリシャスのプレミアムビザを申請するには、いくつかの条件を満たす必要があります。まず、申請者は観光目的ではなく、リモートワークやビジネス目的で滞在することが前提となります。モーリシャス国内での就労は認められておらず、外国からの収入源を持つことが条件です。具体的には年間50,000米ドル以上の収入証明が必要となります。また、申請者は18歳以上であることが求められ、有効なパスポートを所持していることが条件です。パスポートの残存有効期間は少なくとも6か月以上必要です。
申請に必要な書類は比較的シンプルですが、準備には注意が必要です。まず、パスポートのスキャンコピーが必要となります。また、申請者の顔写真も提出する必要があります。収入証明として、銀行残高証明書や雇用契約書、フリーランス契約書などの書類が求められます。さらに、モーリシャス滞在中の宿泊先の証明も必要です。これはホテル予約確認書や賃貸契約書などで証明できます。滞在予定が決まっていない場合は、最初の数週間分のホテル予約で申請可能です。
申請時には往復航空券の予約確認書も求められます。また、包括的な旅行保険の加入証明も必要となります。特に医療費のカバーが含まれている保険が推奨されています。モーリシャス入国時に新型コロナウイルス関連の検査や証明書が必要かどうかは、最新の入国要件を確認する必要があります。申請書には滞在目的と期間、収入源についての詳細な情報を記入します。虚偽の情報を提供した場合はビザが無効になる可能性があるため、正確な情報を提供することが重要です。
オンライン申請の具体的な手順と審査プロセス
モーリシャスのプレミアムビザ申請は完全オンラインで行うことができます。まず、モーリシャス経済開発庁（Economic Development Board of Mauritius）の公式ウェブサイトにアクセスし、プレミアムビザのセクションを見つけます。申請フォームは英語で提供されており、個人情報、パスポート情報、滞在予定期間、職業や収入源に関する情報を入力します。入力が完了したら、必要書類をすべてアップロードします。書類は鮮明でサイズ制限内のPDFまたはJPEG形式である必要があります。
申請フォームの送信後、確認メールが届きます。このメールには申請番号や追加情報の提供方法についての説明が含まれています。審査期間は通常48時間から72時間程度ですが、申請が集中している時期や追加情報が必要な場合はさらに時間がかかることがあります。申請が承認されると、承認レターがメールで送付されます。このレターは入国時に提示する必要があるため、印刷して持参することが重要です。審査プロセスでは、提出された書類の真正性や申請者の経済的安定性、滞在目的の妥当性などが検討されます。
申請が承認された後、モーリシャスへの入国手続きが次のステップとなります。入国時には承認レターのほか、有効なパスポート、往復航空券、宿泊先の証明、旅行保険証明書を提示します。入国審査官によるインタビューが行われることもあります。モーリシャス到着後、最終的なビザ発行のために入国管理局での手続きが必要な場合があります。この際、指紋採取や追加書類の提出が求められることがあります。ビザ延長を希望する場合は、滞在期間終了の少なくとも1か月前に延長申請を行う必要があります。
申請時の注意点と承認後の手続き
プレミアムビザの申請時には、いくつかの重要な注意点があります。まず、すべての書類は英語またはフランス語で提出する必要があります。他の言語の書類は公式翻訳を添付してください。収入証明については、単なる銀行残高だけでなく、継続的な収入源を証明することが重要です。フリーランスの場合は、過去の契約書や請求書、確定申告書などが有効です。また、申請時点での予約ではなく、実際の滞在予定に合わせた航空券や宿泊先の証明を提出することが推奨されています。
ビザが承認された後も注意すべき点があります。入国後は14日以内に近くの警察署で登録手続きを行う必要があります。この際、パスポート、ビザ承認レター、宿泊先の証明書を持参します。また、滞在中に住所変更があった場合は、7日以内に当局に通知する義務があります。プレミアムビザは就労ビザではないため、モーリシャス国内の企業に雇用されることはできません。この規則に違反した場合、ビザが取り消される可能性があります。
ビザの延長を希望する場合は、期限切れの少なくとも1か月前に延長申請を行います。延長申請には、滞在中の活動報告や収入状況の更新、滞在延長の理由などを説明する書類が必要となります。また、法律遵守の証明として、滞在中に犯罪歴がないことを示す証明書が求められることもあります。モーリシャスでの滞在が183日を超える場合は、税務上の居住者となる可能性があるため、税務アドバイザーに相談することをお勧めします。最後に、健康保険は滞在期間全体をカバーするものを維持し、必要に応じて更新することが重要です。
