セーシェルのワーカビザ「ワークマンズパーミット」とは
セーシェルは2021年、リモートワーカーや長期滞在者向けに「ワークマンズパーミット」を導入しました。このビザはコロナ禍での観光業復興と外国人人材誘致のための施策として開始されました。インド洋に浮かぶ115の島々からなるセーシェル共和国は、世界有数の美しいビーチや固有種の豊かな自然環境を持ち、安定した政治体制と発展したインフラを備えています。これらの要素がデジタルノマドにとって魅力的な目的地として注目を集める理由となっています。ワークマンズパーミットは正式なデジタルノマドビザというよりも、リモートワーカー向けに最適化された就労許可証の一種です。
ワークマンズパーミットの最大の特徴は、外国企業のために働きながらセーシェルに長期滞在できる点です。通常の観光ビザでは最長90日間しか滞在できませんが、ワークマンズパーミットでは最長1年間の滞在が認められています。申請条件として、外国の企業や組織から収入を得ていることが必要で、セーシェル国内での雇用は原則として認められていません。申請には月額1,500米ドル以上の収入証明が必要です。この金額は他国のデジタルノマドビザと比較すると比較的低く設定されており、若手リモートワーカーにもアクセスしやすい条件となっています。
セーシェル政府は観光産業の多様化を図るため、このビザ制度を積極的に推進しています。観光国としての強みを活かし、ビーチサイドでのリモートワークという新しいライフスタイルを提案しています。税制面では、183日未満の滞在であれば非居住者として扱われ、セーシェル国外で得た収入に対しては課税されません。また、セーシェルは多くの国と二重課税防止条約を結んでおり、長期滞在者の税負担軽減に配慮しています。国の公用語は英語、フランス語、セーシェル・クレオール語で、特に観光地やビジネス地区では英語が広く通用します。光ファイバーインターネットも主要地域で利用可能で、デジタルノマドの業務環境として整備されています。セーシェルへの直行便は限られていますが、アラブ首長国連邦やケニア、モーリシャスなどを経由するルートが複数あり、国際的なアクセスも確保されています。
ワークマンズパーミットの申請条件と必要書類
セーシェルのワークマンズパーミットを申請するには、いくつかの明確な条件を満たす必要があります。まず、申請者は外国の企業や組織から収入を得ていることが前提となります。セーシェル国内での雇用や現地企業との契約は原則として認められていません。最低月収要件として1,500米ドル以上の安定した収入を証明する必要があります。この収入は銀行取引明細書や雇用契約書などの書類で証明します。申請者は18歳以上であることが条件で、有効なパスポートを所持していることが必要です。パスポートの残存有効期間は申請時点で少なくとも滞在予定期間プラス6か月以上必要とされています。
申請に必要な書類は比較的シンプルですが、準備には時間がかかる場合があります。まず、パスポートのカラーコピーが必要です。また、パスポートサイズの顔写真も要求されます。収入証明として、過去3か月分の銀行取引明細書や雇用契約書、フリーランス契約書などの書類が求められます。セーシェル滞在中の宿泊先の証明も必要で、これはホテル予約確認書や賃貸契約書などで証明できます。長期滞在の場合は、到着後に現地で住居を探す旨を申請書に記載することで、最初の数週間分のホテル予約での申請も可能です。
健康面での要件も重要です。包括的な海外旅行保険の加入証明が必要で、特に医療費のカバーが含まれている保険が要求されます。保険の補償額は少なくとも5万米ドル以上が推奨されています。また、新型コロナウイルス関連の要件として、ワクチン接種証明書または渡航前72時間以内に実施されたPCR検査の陰性証明書が必要となる場合があります。ただし、これらの要件は状況に応じて変更される可能性があるため、最新の入国要件を出発前に確認することが重要です。健康状態についての自己申告書の提出も求められることがあります。
オンライン申請の具体的な手順と審査プロセス
セーシェルのワークマンズパーミット申請はオンラインで行うことができます。まず、セーシェル投資局（Seychelles Investment Board）または移民局（Immigration Department）の公式ウェブサイトにアクセスし、ワークマンズパーミットの申請フォームをダウンロードします。申請フォームは英語で提供されており、個人情報、パスポート情報、滞在予定期間、職業や収入源に関する詳細情報を入力します。フォームへの記入が完了したら、必要書類をすべてスキャンしてPDFまたはJPEG形式で準備します。書類は鮮明で読みやすいものである必要があります。
申請書と必要書類を指定のメールアドレスに送信します。メールの件名には「Workman's Permit Application - 氏名」と明記することが推奨されています。申請書類を送信後、通常3〜5営業日以内に受領確認のメールが届きます。申請手数料は申請時点で支払う必要はなく、承認後にセーシェル到着時に支払います。現在の手数料は約200米ドル程度ですが、変更される可能性があるため最新情報を確認してください。審査期間は通常2〜3週間程度ですが、繁忙期や追加情報が必要な場合はさらに時間がかかることがあります。
申請が承認されると、承認レターがメールで送付されます。このレターには許可番号や有効期間、入国時の手続きに関する情報が含まれています。このレターを印刷し、セーシェル入国時に移民官に提示する必要があります。入国時には、承認レターのほか、往復航空券（または出国予定を証明するもの）、滞在先の証明、旅行保険証明書、そして必要に応じてワクチン接種証明書またはPCR検査陰性証明書を提示します。入国時に申請手数料を支払い、正式なワークマンズパーミットが発行されます。パーミットの有効期間は最長1年間で、条件を満たせば更新も可能です。入国後は14日以内に最寄りの移民局オフィスに出向き、登録手続きを完了させる必要があります。この際、バイオメトリクス情報（指紋など）の登録が行われることがあります。
申請時の注意点と承認後の手続き
ワークマンズパーミットの申請時には、いくつかの重要な注意点があります。まず、すべての書類は英語またはフランス語で提出する必要があります。他の言語の書類は公式翻訳を添付してください。収入証明については、単なる銀行残高だけでなく、継続的な収入源を証明することが重要です。フリーランスとして働いている場合は、過去の契約書や請求書、確定申告書などが有効です。申請書類に不備がある場合、審査が遅れる原因となるため、提出前に書類のチェックリストを作成し、すべての要件を満たしていることを確認することが推奨されます。
ビザが承認された後も注意すべき点があります。セーシェル到着後、入国カードに正確な情報を記入し、ワークマンズパーミットでの入国であることを明記してください。入国時には、移民官からの質問に備えて、リモートワークの内容や滞在目的について簡潔に説明できるよう準備しておくことが重要です。入国後14日以内に移民局での登録が必要であり、この手続きを怠ると罰金や今後の滞在に影響する可能性があります。また、滞在中に住所変更があった場合は、7日以内に移民局に通知する義務があります。
ワークマンズパーミットはセーシェル国内での雇用を認めるものではないため、現地企業との雇用契約を結ぶことはできません。この規則に違反した場合、ビザが取り消される可能性があります。パーミットの延長を希望する場合は、期限切れの少なくとも1か月前に延長申請を行う必要があります。延長申請には、滞在中の活動報告や収入状況の更新、滞在延長の理由などを説明する書類が必要となります。セーシェルでの滞在が183日を超える場合は、税務上の居住者となる可能性があるため、税務アドバイザーに相談することをお勧めします。健康保険は滞在期間全体をカバーするものを維持し、必要に応じて更新することが重要です。また、セーシェル滞在中はビザの条件を遵守し、現地の法律や規則に従うことが求められます。違反行為があった場合、ビザの取り消しや今後の入国拒否につながる可能性があります。
