ルーマニアデジタルノマドビザの申請プロセス概要
ルーマニアのデジタルノマドビザは、リモートワークを行う外国人に最長1年間の滞在を許可するビザです。申請プロセスは主に二段階に分かれており、まず最初にビザの事前承認を取得し、その後実際のビザを申請するという流れになります。申請は基本的に日本国内のルーマニア大使館または総領事館を通じて行うことになります。
申請の全体的なタイムラインとしては、書類準備に1〜2ヶ月、審査期間に約30日程度、ビザ発給までにさらに2週間程度を見込んでおく必要があります。そのため、渡航予定日の少なくとも3ヶ月前から準備を始めることをお勧めします。全体的な処理時間は申請者の状況や提出書類の完全性、そして大使館の混雑状況によって変動する可能性があります。
近年では電子申請システムも部分的に導入されていますが、最終的には大使館への訪問と対面での面接が必要となるケースがほとんどです。申請費用は約120ユーロ（約2万円）程度ですが、これには書類の翻訳費用や公証費用は含まれていないため、実際の総費用はより高くなることを見込んでおく必要があります。
デジタルノマドビザ申請に必要な基本書類
ルーマニアのデジタルノマドビザを申請するには、いくつかの基本的な書類が必要です。まず、有効期限が少なくとも入国予定日から1年以上ある日本のパスポートが必須となります。また、ビザ申請書はルーマニア移民総局（General Inspectorate for Immigration）のウェブサイトからダウンロードし、英語またはルーマニア語で正確に記入する必要があります。
申請者のパスポートサイズの写真（3.5cm×4.5cm）も必要で、背景は白で、最近6ヶ月以内に撮影されたものである必要があります。また、ビザ申請料金の支払い証明書も提出が求められます。ビザ申請料金は大使館によって支払い方法が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
滞在先の証明として、ホテル予約確認書や賃貸契約書などが必要です。短期滞在の場合はホテル予約で問題ありませんが、長期滞在の場合は賃貸契約書が好ましいとされています。契約書は英語またはルーマニア語であり、滞在期間全体をカバーしていることが重要です。また、契約書はルーマニアの公証人により認証されている必要があるケースもあります。
健康面では、国際的な医療保険の証明書が必要となります。この保険はルーマニア滞在中の医療費を最低3万ユーロ（約500万円）カバーしているものでなければなりません。さらに、ルーマニア入国後に地元の警察署で取得できる犯罪経歴証明書も必要になりますが、これは入国後に取得するものであるため、申請時点では必要ありません。
職業・収入証明書類と申請手続きの流れ
ルーマニアのデジタルノマドビザ申請において最も重要なのが、リモートワークで安定した収入を得ていることを証明する書類です。雇用契約書またはフリーランス契約書が必要となり、これらは英語またはルーマニア語に翻訳され、公証人による認証を受ける必要があります。契約書には仕事の内容、期間、報酬などの詳細が明記されていることが重要です。
雇用主からの証明書（在職証明書）も必要となります。この証明書には、申請者の役職、勤務期間、リモートワークが許可されていることが明記されている必要があります。また、雇用主が海外に拠点を置く企業であることを証明する書類（会社登記簿謄本など）も求められます。フリーランスの場合は、主要クライアントからの推薦状や継続的な業務関係を証明する書類を用意すると良いでしょう。
収入証明に関しては、過去3ヶ月分の給与明細や銀行取引明細書が必要です。これらの書類は、申請者の月収がルーマニアの平均月収の3倍以上（約3,700ユーロ、約60万円）であることを証明するものです。自営業者やフリーランスの場合は、過去の確定申告書や税務申告書、会計士による収入証明書なども有効です。すべての財務書類は英語またはルーマニア語に翻訳し、場合によっては公証が必要です。
申請手続きは、まず東京のルーマニア大使館または大阪総領事館のウェブサイトで最新要件を確認することから始まります。必要書類を準備し、予約を入れて大使館で申請と面接を行います。申請が受理されると約30日の審査期間があり、承認後にビザが発給されます。ルーマニア入国後30日以内に現地の移民局で滞在許可証の申請も必要です。
申請時の注意点と成功のためのアドバイス
ルーマニアのデジタルノマドビザ申請において、最も一般的な問題は書類の不備です。すべての書類が完全であり、最新のものであることを確認することが重要です。特に翻訳と公証に関しては時間がかかることが多いため、余裕を持ったスケジュールを立てることをお勧めします。また、書類の原本と共にコピーも用意しておくと、予期せぬ事態に対応しやすくなります。
申請書の記入ミスも頻繁に見られる問題です。特に日付の形式（日/月/年または月/日/年）やスペルミスには注意が必要です。不明な点がある場合は、提出前に大使館に確認することをお勧めします。また、記入はすべて英語またはルーマニア語で行い、日本語での記入は避けるようにしましょう。
収入証明に関しては、単に金額だけでなく、収入の安定性と継続性を示すことが重要です。過去数ヶ月だけでなく、可能であれば1年以上の収入履歴を示すことで、安定した収入源を持っていることをより説得力を持って証明できます。また、複数の収入源がある場合は、それらすべてを適切に文書化して提示することで、経済的な安定性をアピールできます。
ビザ申請の審査中に追加書類の要求があった場合は、できるだけ迅速に対応することが重要です。また、申請状況の確認は定期的に行い、必要に応じて大使館に問い合わせることも検討しましょう。ただし、頻繁すぎる問い合わせは避け、通常の審査期間を尊重することが望ましいです。
最後に、ルーマニアのビザ規則や要件は変更される可能性があるため、常に最新情報を確認することが重要です。ルーマニア大使館のウェブサイトや移民局の公式情報を定期的にチェックし、申請要件の変更に対応できるようにしておきましょう。また、ビザ申請の経験者やルーマニア在住の日本人コミュニティからの情報も役立つことがあります。オンラインフォーラムやSNSグループなどを通じて、実際の経験や最新の状況について情報収集することも検討してみてください。
