妊娠中にカンジダが発症する理由とリスク
妊娠中は女性の体内でホルモンバランスが大きく変化し、特にエストロゲンの上昇により膣内環境が変化します。この変化がカンジダ菌の増殖を促進する要因となり、妊婦の約20%がカンジダ症を経験するといわれています。妊娠中はさらに免疫システムが赤ちゃんを排除しないよう調整されるため、通常よりもカンジダに対する防御機能が低下することも一因です。
また、妊娠に伴う血糖値の変動や尿中の糖分増加もカンジダの栄養源となり、増殖リスクを高めます。症状としては非妊娠時と同様のかゆみや灼熱感、白色の分泌物が現れますが、妊娠中は症状が強く出ることがあります。心配なのは、分娩時に赤ちゃんへの感染リスクです。新生児がカンジダに感染すると口腔カンジダ症（鵞口瘡）を発症する可能性があり、授乳にも影響することがあります。妊娠中のカンジダ症は放置せず、早めに産婦人科医に相談することが重要です。
妊娠中の安全な治療法と自己ケア
妊娠中のカンジダ症治療では、胎児への影響を最小限に抑えた安全な方法を選択する必要があります。基本的に外用の抗真菌薬が第一選択となり、クロトリマゾールやミコナゾールなどの膣錠剤やクリームが処方されることが多いです。これらは限られた量しか血流に吸収されないため、胎児への影響は最小限と考えられています。一方、経口抗真菌薬（フルコナゾールなど）は妊娠初期には原則避けるべきとされ、中期以降でも慎重に使用が検討されます。自己ケアとしては、清潔を保つことが基本です。
ただし、強いせっけんや膣内洗浄は自然な細菌叢を乱す可能性があるため避け、ぬるま湯での優しい洗浄にとどめるのが良いでしょう。下着は綿素材の通気性の良いものを選び、こまめに交換します。食事面では、砂糖や精製炭水化物の摂取を控え、良質なタンパク質と野菜を中心とした栄養バランスの良い食事を心がけることが大切です。プロバイオティクスの適切な摂取も症状改善に役立つ可能性がありますが、具体的な製品選択は医師に相談しましょう。
パートナーとして知っておくべきサポートと配慮
男性のカンジダ症は見過ごされがちですが、特に亀頭包皮炎として現れることが多く、亀頭部の赤み、かゆみ、刺激感、白い小さな発疹などが典型的な症状です。女性パートナーとの性的接触で感染することもありますが、必ずしも性感染症とは限らず、抗生物質の使用後や免疫低下時にも発症します。特に糖尿病患者、ステロイド剤使用者、HIV感染者などはリスクが高まります。
男性特有の解剖学的構造として、包茎の場合は包皮内に湿った環境が生まれやすく、カンジダの増殖に適した条件となります。予防のためには、入浴後に性器を十分に乾かすこと、通気性の良い下着の着用、トイレ後の適切な衛生管理などが重要です。また、女性パートナーがカンジダ症を繰り返す場合は、男性側も治療を受けることでパートナー間での再感染を防ぐことができます。症状がある場合は自己診断や市販薬に頼らず、泌尿器科や皮膚科を受診することをお勧めします。
パートナーとして知っておくべきサポートと配慮
パートナーがカンジダ症の場合、特に妊娠中の女性パートナーをサポートする男性が知っておくべきポイントがあります。まず、カンジダ症の治療中は性行為を一時的に控え、医師から許可があるまで再開しないことが再感染防止に重要です。コンドームの使用も再感染リスクを減らす一助となりますが、完全な予防にはなりません。また、膣内環境にダメージを与える可能性のある膣内洗浄剤や香りの強い製品の使用を避けるよう配慮しましょう。
女性パートナーがカンジダ症で不快感を抱えている場合、身体的な症状だけでなく心理的な負担も理解すること、そして病気に対して非難せず支持的な態度を示すことが大切です。男性自身も定期的に検査を受け、無症状のキャリアとなっていないか確認することで、パートナーの再発防止に貢献できます。特に妊娠中は女性の体調変化や感情の波に理解を示し、食事管理や生活習慣の改善を一緒に取り組むことで、カンジダ症の管理と妊娠中の健康維持をサポートできます。カンジダ症は正しい知識と適切なケアで効果的に管理できる状態であることを理解し、パートナーとして最大限のサポートを提供しましょう。
