メディケアと公的医療保険制度の基本
オーストラリアの医療制度の中心となっているのが、メディケアと呼ばれる公的医療保険制度です。日本の国民健康保険に相当するこの制度では、永住者や市民権保持者は自動的に加入対象となります。メディケアでは、公立病院での治療が無料となり、一般開業医(GP)の診察費用も給付対象となります。ただし、日本から一時滞在や学生ビザで渡豪する場合は、メディケアに加入できないため、必ず海外旅行保険や留学生向け保険への加入が必要となります。
私立病院と追加的な医療保険の必要性
オーストラリアでは、公立病院の待機時間が長いという特徴があります。そのため、多くの永住者は民間の医療保険にも加入しています。私立病院での治療や、歯科治療、眼科診療などの専門医療サービスをカバーするためです。年収が一定額を超える場合、民間医療保険に加入していないと追加の医療税が課される仕組みもあります。私立病院での治療は予約がとりやすく、待ち時間も短いため、より柔軟な医療サービスを受けることができます。
日本との医療費の違いと準備すべき費用
オーストラリアの医療費は、日本と比較すると全般的に高額です。特に専門医の診察費用や薬剤費用は、日本の数倍になることもあります。例えば、メディケア対象外の一般的な専門医の診察料は100豪ドル以上かかることも珍しくありません。また、歯科治療は基本的に全額自己負担となるため、治療費用は数千豪ドルに達することもあります。そのため、年間の医療費支出を見据えた資金計画を立てることが重要です。
渡豪前の医療費対策と具体的な準備
オーストラリアへの移住を考えている方は、まず自身のビザステータスに応じた医療保険の選択肢を確認することから始めましょう。永住者ビザを取得予定の場合は、メディケアへの加入手続きを理解し、必要書類を事前に準備しておくことが大切です。また、持病がある場合は、オーストラリアでの治療費用や利用可能な医療機関について事前に調査することをお勧めします。さらに、民間医療保険への加入を検討する場合は、複数の保険会社のプランを比較検討し、自身のニーズに合った保障内容を選択することが賢明です。何より重要なのは、予期せぬ医療費に備えて、十分な貯蓄を確保しておくことです。