カナダへの移住を考える際、医療制度の違いは重要な検討事項の一つです。日本の国民健康保険制度とは異なる仕組みを持つカナダの医療制度について、移住を考える方々に向けて詳しく解説していきます。
カナダの公的医療保険制度の基本
カナダの医療制度は、州ごとに運営される公的医療保険制度(メディケア)を基盤としています。この制度では、医療費の大部分が無料となり、カナダ国民や永住者は基本的な医療サービスを受けることができます。ただし、日本と異なり、歯科治療、処方箋医薬品、救急車、視力検査などは公的保険の対象外となっています。これらのサービスについては、別途民間の医療保険に加入するか、実費で支払う必要があります。
医療保険加入までの待機期間を知る
カナダに移住した後、公的医療保険に加入できるまでには通常3ヶ月程度の待機期間があります。この期間は州によって異なり、オンタリオ州では3ヶ月、ブリティッシュコロンビア州では約3ヶ月の待機期間が設けられています。この待機期間中の医療費は全額自己負担となるため、渡航前に私的医療保険に加入しておくことが強く推奨されます。特に、慢性疾患をお持ちの方は、待機期間中の医療費についても十分な準備が必要です。
必要な準備と医療費の実態
カナダでの医療費に関する準備として、まず移住直後の待機期間をカバーする私的医療保険への加入が不可欠です。保険料は年齢や既往歴によって異なりますが、一般的に単身者で月額100~200カナダドル程度を見込んでおく必要があります。また、処方箋医薬品の費用は保険でカバーされない場合が多く、日本と比較して高額になることがあります。例えば、一般的な風邪薬でも処方箋が必要な場合があり、医師の診察料と合わせると想定以上の出費となる可能性があります。
長期的な医療費計画の立て方
カナダでの長期的な医療費管理には、雇用主が提供する団体保険への加入が有効です。多くの企業では、従業員に対して歯科治療や処方箋医薬品をカバーする追加の医療保険を提供しています。また、自営業者や団体保険に加入できない方向けには、様々な民間保険会社が補完的な医療保険プランを提供しています。年間の医療費支出を見積もる際には、定期的な健康診断、歯科検診、そして予期せぬ医療費に備えた貯蓄も考慮に入れることが重要です。さらに、高齢者向けの医療サービスや介護サービスについても、早い段階から情報収集を始めることをお勧めします。