デンマークの滞在許可制度の基本

デンマークへの移住を考える日本人にとって、最初の関門となるのが滞在許可(レジデンスパーミット)の取得です。デンマークは EU加盟国でありながら、独自の移民政策を持っており、シェンゲン協定にも独自の立場を取っています。日本人の場合、90日以内の短期滞在であれば査証免除の対象となりますが、それ以上の長期滞在には必ず滞在許可が必要です。申請は原則として母国で行う必要があり、デンマーク移民局(SIRI)のオンラインポータルを通じて手続きを進めることができます。
就労目的の滞在許可取得への道筋

就労目的での滞在許可取得には、主にポジティブリスト制度とペイリミット制度という二つの主要なルートがあります。ポジティブリストは、デンマークで人材不足している職種のリストで、IT専門家、エンジニア、医療従事者などが含まれます。これらの職種で就職が決まれば、比較的スムーズに滞在許可を取得できます。一方、ペイリミット制度は、年間給与が一定額(2024年現在で約450,000デンマーククローネ)を超える場合に適用され、職種を問わず滞在許可を申請できます。就労契約書、学位証明書、パスポートのコピーなどが主な必要書類となります。
永住権取得までのステップ

デンマークの永住権(恒久的居住許可)を取得するためには、通常8年間の継続した合法的滞在が必要です。ただし、一定の条件を満たせば4年に短縮される可能性もあります。具体的な要件として、デンマーク語試験でA2レベル以上の合格、過去4年間で一定期間以上のフルタイム就労実績、公的扶助を受けていないことなどが挙げられます。また、デンマーク社会に関する知識を問う市民統合試験にも合格する必要があります。さらに、犯罪歴がないことや、納税義務を適切に果たしていることも重要な判断基準となります。
長期的な展望と注意点

デンマークの移民政策は定期的に見直されており、要件が厳格化される傾向にあります。そのため、永住権取得を目指す場合は、入国時から計画的に準備を進めることが重要です。特に言語要件については、入国後すぐにデンマーク語の学習を開始することをお勧めします。デンマーク政府は、移民向けの無料語学コース(Danish Language Education)を提供しており、これを活用することで効率的に要件を満たすことができます。また、永住権申請の際には、デンマークでの生活への適応度も評価されるため、地域コミュニティへの参加や、文化活動への関与も重要な要素となります。将来的な国籍取得も視野に入れている場合は、より高度なデンマーク語能力(B2レベル以上)が求められることも念頭に置いておく必要があります。