デジタルノマドビザ申請の基本的な流れ

チェコのデジタルノマドビザ(正式には「フリーランサー・自営業者向け滞在許可証」)の申請は、大きく分けて2つのステップで進みます。まず産業貿易省(MIT)への申請を行い、その後チェコ大使館でのビザ申請手続きへと進みます。申請から取得までの期間は、産業貿易省のプログラム採用後、45日以内の発行が保証されています。ただし、一般的なケースでは審査に90〜120日ほどかかることもあるため、余裕を持った計画が必要です。
日本国籍の方がチェコのデジタルノマドビザを申請する場合、まず在日チェコ共和国大使館のウェブサイトから予約を取る必要があります。その際、申請者の基本情報(氏名、生年月日、連絡先など)と滞在目的を証明する書類のスキャンデータを提出します。予約が確定したら、指定された日時に大使館を訪問して申請書類を提出します。ビザの申請料は2,500チェココルナ(約1万6,300円)です。
フリーランスとして申請する場合は、まず長期滞在ビザの取得が必要で、その後にフリーランスビザ(Zivnoビザ)を取得するという2段階のプロセスとなります。雇用者としての申請の場合は、チェコ国内から通信技術を使用してリモートで業務を行うことを証明する必要があります。このプロセスは他国のデジタルノマドビザと比較して複雑であるため、専門家や移民弁護士のサポートを受けることをお勧めします。
産業貿易省への申請に必要な書類

チェコのデジタルノマドビザを取得するためには、まず産業貿易省にプログラム申請を行う必要があります。申請書は産業貿易省のウェブサイトからダウンロードでき、記入後にdigitalnomad@mpo.czというメールアドレスに提出します。この段階で必要となる主な書類は以下の通りです。
1. 申請書(Application Form - Digital Nomad Program):産業貿易省のウェブサイトからダウンロード可能な正式申請書類です。
2. 職業資格証明書:自然科学、技術、工学、数学などの学位証明書または専門学校の修了証明書。あるいは、IT部門での3年以上の勤務経験を証明できる書類(推薦状、職務経歴書など)が必要です。
3. 収入証明書:チェコ労働・社会福祉省が発表する年間平均賃金の1.5倍以上の収入を証明できる書類。現在の基準では、月額約6万530チェココルナ(約39万5,800円)以上の収入が必要です。これは銀行の残高証明書や給与明細、契約書などで証明します。
4. 雇用証明または事業計画書:被雇用者の場合は、通信技術を用いたリモートワークが可能であることが明記された雇用契約書。フリーランスの場合は、チェコでの活動内容と収入見込みを記載した事業計画書が必要です。
5. パスポートコピー:有効期限がチェコ出国予定日から90日以上あるものが必要です。
産業貿易省からの採用決定書が発行されたら、次のステップとしてチェコの在外公館(日本の場合は在日チェコ共和国大使館)でビザの申請を行います。
チェコ大使館での申請に必要な書類

産業貿易省からの採用決定を受けた後、チェコ大使館でビザ申請を行う際に必要となる書類は以下の通りです。これらの書類は全て原本とそのチェコ語への公式翻訳が必要となるケースが多いので注意が必要です。
1. ビザ申請書:チェコ共和国大使館のウェブサイトからダウンロード可能な申請書に必要事項を記入します。
2. パスポート:有効期限がチェコ出国予定日から90日以上あるもの。また申請時に空白ページが最低2ページ必要です。
3. 証明写真:3.5cm×4.5cmサイズのカラー写真2枚。背景は白色で、6ヶ月以内に撮影されたものが必要です。
4. 産業貿易省からの採用決定書:デジタルノマドプログラムへの採用を証明する公式文書です。
5. 滞在先証明書:少なくとも1年間の宿泊施設を手配したことを示す書類。これには公証済みのアパートの賃貸契約書や家主からの公証済みの居住証明書などが含まれます。チェコ内務省のウェブサイトからダウンロード可能な専用フォーム「DOKLAD (POTVRZENÍ) O ZAJIŠTĚNÍ UBYTOVÁNÍ」を使用することもできます。
6. 資金証明書:チェコ滞在中の生活費支払能力を証明する書類。最低CZK124,500(約63万円)の貯金があることの証明が必要です。これは銀行の残高証明書で提出します。
7. 無犯罪証明書:日本の無犯罪証明書(警察署で取得可能)に加え、過去3年間に6ヶ月以上滞在したすべての国からの無犯罪証明書も必要です。
8. 健康保険証明:チェコ滞在期間をカバーする旅行健康保険の証明書。なお、日本とチェコの間では社会保障協定が締結されているため、「チェコで就労する被用者/自営業者のための日本国公的年金および公的医療保険各法の適用に関する証明書(J/CZ 101)」を提出することで、旅行健康保険の提出が免除される場合があります。
9. フリーランスの場合、チェコの営業許可(Trade License)取得の証明または予定を示す書類も必要となります。
申請後の流れと注意点

申請書類を提出した後は、チェコ当局による審査が行われます。産業貿易省のデジタルノマドプログラムに採用された場合、通常45日以内にビザが発行されますが、一般的な申請では90〜120日程度かかることもあります。ビザの発行が決まったら、再度チェコ大使館を訪問してビザを受け取ります。
チェコに入国した後、3日以内(休祝日を除く)に最寄りの外国人警察に滞在の事実を届け出ることが義務付けられています。ただし、ホテルに滞在する場合はホテルが代行して届け出るため、個人での手続きは不要です。長期滞在を予定している場合でも、当初ホテルに滞在する間はホテルに直接確認することをお勧めします。
滞在中は、ビザの条件に従って活動することが重要です。特に収入源がチェコ国外にあること、そしてチェコ国内での雇用関係が発生しないことを守る必要があります。年間183日以上チェコに滞在する場合は、法律上は納税義務のある居住者とみなされるため、日本との二重課税を避けるための手続きも必要となります。
ビザの有効期限は1年間で、期限後も滞在を希望する場合は滞在許可の申請が必要です。また、条件を満たさなくなった場合や不法滞在となった場合は、出国命令が発せられる可能性があり、今後のシェンゲン域内への入国に影響が出ることもあるため注意が必要です。
チェコのデジタルノマドビザは他国と比較して申請手続きが複雑であるため、申請前に在日チェコ共和国大使館のウェブサイトで最新情報を確認することをお勧めします。また、ビザの条件は予告なく変更される可能性もあるため、正確な情報は必ず公式機関に確認することが重要です。特に専門的なアドバイスが必要な場合は、移民弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。