【ポルトガル編】デジタルノマドビザで海外生活  日本人特有の注意点は?家族も一緒に海外移住できる? - HAPIVERI

【ポルトガル編】デジタルノマドビザで海外生活  日本人特有の注意点は?家族も一緒に海外移住できる?

日本人が直面する特有の課題:言語、文化、そして行政手続き

日本人が直面する特有の課題:言語、文化、そして行政手続き

ポルトガルでのデジタルノマド生活において、日本人が直面する最初の壁は言語です。英語が広く通じる首都リスボンやポルトといった都市部でも、公的機関での手続きや日常生活の細かなやり取りでは、ポルトガル語が必要となる場面が多くあります。特に、税務署(Autoridade Tributária)や社会保険事務所などの行政機関では、英語対応が限定的であることに留意する必要があります。

文化面では、日本人特有の「時間厳守」の意識と、ポルトガルの比較的ゆったりとした時間感覚との間でギャップを感じることがあるでしょう。行政手続きの所要時間が予想以上に長くなることも珍しくありません。例えば、D8ビザの承認プロセスは通常60〜90日とされていますが、書類の不備や追加書類の要求により、実際には6か月以上かかるケースも報告されています。

日本との重要な違いの一つが、NIFと呼ばれる税務番号の取得です。これは日本のマイナンバーに相当するもので、銀行口座の開設、賃貸契約、そして最終的なD8ビザの申請時にも必須となります。日本人の場合、現地の代理人(税務代理人)を指定する必要があり、この手続きには追加のコストが発生します。また、ポルトガルではカード決済が使えない店舗も依然として多く、現金を常に携帯する必要があることも、キャッシュレス化が進む日本からの移住者にとっては不便に感じられるかもしれません。

家族帯同の要件と日本人家族特有の留意点

家族帯同の要件と日本人家族特有の留意点

D8ビザは家族の帯同が可能ですが、日本人家族の場合、いくつか特有の準備と手続きが必要となります。まず、主申請者の月収要件は3,480ユーロですが、家族を帯同する場合、配偶者につき月収の50%、子供1人につき30%の追加預金証明が必要です。例えば、配偶者と子供1人を帯同する場合、最低預金額は18,792ユーロ(約275万円)となります。

日本の教育システムとポルトガルの教育システムの違いも重要な考慮事項です。子供の就学年齢によっては、国際学校への入学が最も現実的な選択肢となるかもしれません。リスボンやポルトには英語で教育を行う国際学校がありますが、学費は年間8,000〜15,000ユーロと決して安くはありません。公立学校では基本的にポルトガル語での授業となるため、子供の語学力によっては適応に時間がかかる可能性があります。

配偶者の就労についても注意が必要です。D8ビザの家族帯同者は、原則として現地での就労に制限はありませんが、就労する場合はポルトガルでの納税義務が発生します。日本との租税条約により二重課税は回避できますが、申告手続きは複雑になることがあります。また、日本の健康保険や年金の継続についても、事前に確認と手続きが必要です。

日本人の税務上の考慮事項と二重課税の回避

日本人の税務上の考慮事項と二重課税の回避

税務は日本人デジタルノマドにとって最も重要な検討事項の一つです。ポルトガルでは年間183日以上滞在すると税務上の居住者となり、全世界所得に対する課税対象となります。ポルトガルの個人所得税率は13.25%から最大48%と高額で、特に月収3,480ユーロ以上の方は37〜48%の税率が適用されます。

一方で、非常居居住者(NHR)制度は2024年1月で新規申請が終了しましたが、現在はITS(Incentivized Tax Status Program)という新しい税制優遇措置が導入されています。この制度を利用すると、特定の条件下で税率を軽減できる可能性があります。日本人の場合、日本の源泉所得に対する二重課税を避けるため、両国間の租税条約を活用する必要があります。

特に注意すべきは、日本のクライアントやリモートワーク先からの収入の申告です。D8ビザ保持者は「trabalhador independente」としての登録が必要で、四半期ごとのVAT申告も求められる場合があります。日本との時差(夏季は8時間、冬季は9時間)を考慮したワークスケジュールの調整も、生産性維持のために重要な要素となります。

生活基盤の構築と長期滞在に向けた準備

生活基盤の構築と長期滞在に向けた準備

ポルトガルでの長期滞在を見据えた生活基盤の構築も、日本人にとって重要な課題です。住居の確保は特に課題となっており、リスボンやポルトなどの人気都市では、外国人向けの家賃が高騰しています。D8ビザ申請時には1年以上の賃貸契約書の提示が必要ですが、現地の信頼できる不動産業者を見つけることが肝要です。

医療面では、D8ビザ保持者は到着後に公的医療制度への加入が可能ですが、日本の医療システムとは大きく異なります。緊急時の対応や専門医の受診には、民間の医療保険に加入することを強く推奨します。特に、日本語対応可能な医療機関は限られているため、事前に現地の日本人コミュニティから情報を収集することが望ましいでしょう。

日本食材の調達も、長期生活の質を左右する要素です。リスボンやポルトではアジア系食材店が増えてきていますが、価格は日本の2〜3倍になることも珍しくありません。定期的に日本から食材を送る場合は、関税や輸入規制についての確認が必要です。また、日本人コミュニティとのネットワーク構築は、現地での生活適応において大きな支えとなります。リスボンには活発な日本人コミュニティがあり、情報交換会や文化交流イベントも定期的に開催されています。

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