ハンガリーデジタルノマドビザ「ホワイトカード」とは

ヨーロッパの中心に位置するハンガリーは、その豊かな歴史、美しい建築物、そして手頃な生活費で知られています。2021年11月に導入されたハンガリーのデジタルノマドビザ(通称「ホワイトカード」)は、リモートワークで働きながらヨーロッパの魅力的な生活を体験したいデジタルノマドにとって、素晴らしい機会となっています。
このビザは、ハンガリー国外の企業と雇用契約を結んでいる、またはフリーランサーや事業主として働いているEU圏外の国籍者を対象としています。ハンガリーはクロアチア、チェコ共和国、エストニア、マルタ、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、ギリシャなど、デジタルノマドビザを導入する他のヨーロッパ諸国に続いて、このプログラムを開始しました。
ハンガリーのデジタルノマドビザの最大の魅力は、他のヨーロッパ諸国と比較して収入条件が比較的低く設定されていることです。また、ブダペストを中心に手頃な生活費と優れたインターネットインフラが整っていることも、デジタルノマドにとって大きな利点となっています。
ハンガリーデジタルノマドビザの基本要件

ハンガリーのデジタルノマドビザを取得するためには、いくつかの基本的な要件を満たす必要があります。まず、有効なパスポートを持っていることが必須です。パスポートの有効期限は、少なくともビザの有効期間中であることが求められます。
また、ハンガリー国外の企業でフリーランサー、従業員、または事業主として働いていることを証明する必要があります。これは、雇用契約書や業務委託契約書、会社の登記簿謄本などの書類によって証明することができます。
収入要件としては、月収が最低2,000ユーロ(約32万円)以上あることが条件となっています。この金額は他のヨーロッパ諸国のデジタルノマドビザと比較すると、かなり手頃な設定です。例えば、ポルトガルでは月額約3,040ユーロ(約50万円)、クロアチアでは月額約2,870ユーロ(約47万円)が必要とされています。
さらに、ハンガリーでの滞在先を確保していることも必要です。これは、賃貸契約書やAirbnbでの支払いを済ませた証明書類などで証明することができます。ブダペストを中心に、手頃な価格の宿泊施設が多く存在するため、この条件を満たすことは比較的容易です。
他国のノマドビザとの違い

ハンガリーのデジタルノマドビザは、他の国々のノマドビザと比較していくつかの特徴があります。まず滞在期間についてですが、ハンガリーのビザでは最長1年間の滞在が認められており、さらに1年間の更新も可能です。これはクロアチアのデジタルノマドビザが1年間で更新不可であるのと比較すると、長期的な滞在計画を立てやすい利点があります。
申請プロセスに関しては、ハンガリーのビザはハンガリーの領事館で直接申請する必要があります。これは国内にいる間に申請することができないという点で、クロアチアなど一部の国々が国内での申請を認めているのとは異なります。申請料は約60ユーロ(約1万円)と設定されており、他の国々と比較しても手頃な価格となっています。
税制面では、ハンガリーに年間183日以上滞在した場合、税金を支払う必要があります。ハンガリーの所得税は一律15%、社会保障税が18.5%で合計33.5%となります。ただし、日本とは社会保障協定を結んでいるため、日本で社会保険に加入している方(主に法人の役員など)は社会保障税を支払う必要がないという利点があります。これはクロアチアのデジタルノマドビザが所得税や社会保障税を完全免除しているのとは異なりますが、それでも他の多くのヨーロッパ諸国と比較すると有利な条件です。
また、他の国々と比較してハンガリーの大きな魅力は、手頃な生活費と高品質のインターネットインフラです。特にブダペストは、西ヨーロッパの主要都市と比較して生活費が大幅に安く、コワーキングスペースや無料Wifiを提供する小さなカフェも充実しています。これにより、デジタルノマドは限られた予算内でも快適なヨーロッパの生活を楽しむことができます。
申請手続きと将来性

ハンガリーのデジタルノマドビザの申請手続きは比較的シンプルです。必要書類としては、有効なパスポート、リモートワークの証明(雇用契約書など)、十分な収入の証明、ハンガリーでの住所証明などが求められます。これらの書類をハンガリーの領事館に提出し、約60ユーロの申請料を支払うことで手続きが進められます。
申請から承認までのプロセスには数週間かかることもありますが、要件をしっかり満たしていれば承認される可能性は高いと言われています。また、ビザが承認された後も、ハンガリーに入国した後は居住許可証であるホワイトカードの申請をして取得する必要があります。
ハンガリーでのデジタルノマド生活の将来性は非常に明るいと言えるでしょう。ブダペストを中心に、デジタルノマドコミュニティが徐々に形成されつつあり、コワーキングスペースやノマド向けのイベントなども増加傾向にあります。また、ハンガリーはEU加盟国であるため、ビザ取得後はシェンゲン圏内の他の国々への自由な移動も可能です。
さらに、ハンガリーは中央ヨーロッパに位置し、周辺国へのアクセスも良好であることから、週末旅行や小旅行を楽しむことも容易です。このように、ハンガリーのデジタルノマドビザは、ヨーロッパでのリモートワーク生活を希望する人々にとって、コストパフォーマンスの高い選択肢となっています。
2024年には日本でもデジタルノマドビザ制度が始まりましたが、ハンガリーのデジタルノマドビザは日本人にとっても取得しやすい条件が整っています。リモートワークの普及と共に、今後もますます多くのデジタルノマドがハンガリーを選択することが予想されます。